No.21 【 Fender Japan Bass VI CAR 2012 】

BODY: ALDER
NECK: MAPLE
      KTS Ti- Reinforcement:高純度チタン・バーをネック補強材として採用
GRIP SHAPE: OVAL TYPE
SCALE: 384mm
FRETBOARD: ROSEWOOD

FRET: 21F,VINTAGE
RADIUS: 184R
NUT WIDTH: 40mm

PICKUPS: JG VINTAGE(JAPAN)×3
CONTROLS: 1VOL,1TONE
SWITCH:3PU ON/OFF SW, LOWCUT SW
BRIDGE: BR-B6
TUNER: MHB-SD91 NI
PICKGUARD: CARはWH3P
弦:ダダリオXL156 [024,034,044,056,072,084]

 

 

 

2012年
宇崎竜童さんから頂いたベースである

2012年の舞台『男の花道』(マキノ雅彦=津川雅彦演出)
中村福助、中村梅雀、主演

この舞台の音楽担当の宇崎竜童さんが
「歌右衛門役の中村福助さんが一人で踊る場面の音楽『夢にさまよう』に、梅雀さんのベースソロを入れたい」
と言い出され、私も快諾
早速、宇崎さんのプライベート・スタジオで
義太夫の太棹三味線とエレキギターの即興演奏で録音されていた曲に、
私のベースの即興演奏を重ねた

 

この時の演奏はBass No.3 のFodera Emperor 5strings Bolt-On FL ’05を使用
録音本番は気合の一発OKだった
演出のマキノ雅彦さん(津川雅彦さん)も福助さんも大変気に入ってくださった
三つの楽器が魂を込めて絡み合い、舞台の素晴らしい空間演出となった

この録音が終わっての帰り際
突然、宇崎さんが満面の笑みで
「梅雀さん、これ、持ってってください」
と、渡されたのがこのベース

それはそれはとてもビックリしたし、
ものすごく嬉しかった
だって、宇崎さんがくれたんだから記号

 

以前2006年ごろ私は、
Fender Custom Shop Bass VI Built by Chris Fleming を所有していた
‘63年辺りのBass VIを再現した、マスター・ビルダーのクリス・フレミングの作品だ
良い材を使った丁寧な作りで、鳴りも良く、なかなか魅力的な個体だった
弦間ピッチが狭いけれど、スラップもやったりした。
「Bass VIだって、ベースとして色んな事ができるんだぞ」
という挑戦をしたかった
しかし、テレビドラマの『温泉若おかみの殺人推理』の撮影で一回演奏したきりで
、 なかなか使う機会がなかった

重大な欠点は弦を一々緩めないとネックが簡単に反ってしまう事だった
弦の張力に対してネックが弱かったのだ
あまりにネックが安定しないので結局は手放してしまった

手放すと寂しいものである

 

Bass VI といえば
初代は1961年に発表された
ギターのJaguar用のピックアップを三基使い、トレモロアーム、ミュート・システム付き
ピックアップのエスカッションや、ネックの指板(スラブからラウンドへ)や、
ポジションマーク(ドットからブロックへ)など、
少しずつの変更をしながら、1975年に製造が終わっている
2006年にカスタム・ショップから一時復刻された
(フェンダー・ジャパンは1991年に限定発売し、2012年に再び復刻発売している)

 

楽器としての一般認識はバリトン・ギターというポジションのようだが、
まともな4弦ベースの音域をカバー出来る
弦間ピッチが狭いので、ギタリストがベースを兼任する時に弾きやすい
ピック弾きに向いている
ベーシストがギター的アプローチのソロをとる事もできる
しかし指弾きをするベーシストにとっては、弦間ピッチが狭すぎてストレスになる

 

 

使っていたアーティストとしては
Jack Bruce 、John Lenon、George Harrison、Glen Campbellなどを思い出す

ジョージの真面目なベースらしいプレイや、ジョンの荒削りでユニークなベースプレイ ”Hey Jude”の映像や映画”Let It Be”の中で、この二人が使っていたからこそ、 Bass VIの存在が知れ渡ったと思う

ジャックの指弾きでのアグレッシブなプレイは、このベースの魅力をよく出している 特に右手はコントラバスなどをプレイする時とは全く違う指使いが必要だが、 ジャックは器用に指先で弾いている

グレン・キャンベルのバリトン・ギターとしての使い方も素敵だ
"Wichita Lineman"の間奏でのプレイは、普通のギターでは出せない重さと張りがある

 

さて 2012年にFender Japanが復刻したこのBass VIは、 その弱点であったネックを、高純度チタンバーで補強した

(Fender Japan サイトより)
※KTS Ti-Reinforcement
冷間圧延加工技術により、高純度チタニウムワイヤーロッドから成形されたフラットバー

 

従ってサウンドも比較的タイトに、ハッキリした感じになっている
バランスも良く、扱いやすい出音だ

 

各ピックアップの音は

  • フロント:ピックアップが丁度24フレットの位置にあり、リッケンバッカーのフロントの様な甘い丸さを持った太い音
  • センター:ピックアップがプレシジョンより少しブリッジ寄りにあり、プレベを引き締らせた音 ファンキーな曲にも使える
  • リア:かなりブリッジ寄りなので、コリコリとした音になる
  • フロント+センター:太さの中に締まった中域ご加わり、とても使いやすい音
    まともなベースとして使える音だ
  • フロント+リア:リッケンバッカー4005のミックスの様な、特殊な音
  • センター+リア:引き締まった低音に、コロコロした高域が加わり、少しケン・スミスのミックス音に似ている
  • フロント+センター+リア:太いがケロケロしている
    個性的な音だ

◎ベースカット・スイッチを使った場合は
正に低域カット
とてもギター的な音になる

 

見た目は‘70年代のモデルだが、中身は’60年代を含めての良いとこ取りの美味しい内容になっている。

 

ローズウッド・スラブ貼りの指板
マッチドカラーのヘッド(Candy Apple Redのモデルのみ)
ドット・インレイ

 

30インチのメイプル・ボルトオン・ネック

 

アルダー・ボディー

 

日本製のピックアップ
三基のピックアップのON/OFFスイッチとベースカット・スイッチ

 

トレモロアーム(テールピースプレートにロック・スイッチ付き)
オリジナルの様なミュートは付いていない

コントロールはマスター・ボリュームとマスター・トーン

元々は便利性を狙って生み出された楽器だが
今となっては決して、オールマイティーな楽器とは言えない
当初の目的の【正統派の音の代役】ではなく
ユニークな音を狙う方が魅力的だ
エフェクターのトレモロやロータリー・スピーカーを使ったりして、ちょっとしたリフを奏でるとか

使い方次第で
曲の個性を引き立てるインパクトを作り出せる

 

意外な時に、意外な活躍をしそうな
隠れたヤンチャな個性が生かせる時を
このベースは待っている

宇崎さん
本当にありがとうございます記号
大切に使わせて頂きます

(写真撮影: 中村梅雀)

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