【Fodera Emperor II 5 Strings Custom ‘15】 

ボックス・エルダー・トップ、アルダー・バック、
アッシュ・センタートーンウッド
34inchメイプル3ピースネック、マダガスカルキングウッド指板
マスターボリューム・マスタートーン(2軸)、バランサー、
ベース・ミドル・トレブルEQ(ブースト・カット)
Hi Mid/ Lo-Mid切換SW、コイルタップ(シングル/デュアル)SW、
プリアンプ ON/ OFF(アクティヴ/パッシヴ)SW
フォデラ・カスタム・プリアンプ(18Vバッテリー)

 

 

 

2015年購入

2015年の舞台『三匹のおっさん』の稽古中に
久しぶりに【ラフタイム】に立ち寄った

何本かFoderaのベースを弾いてみた
その中でこの1本は
本当に久々に、圧倒的に私の好みに合う音だった

Foderaらしいバランスの良さ・品の良さと
Fender Jazz Bass の70年代後半のモデルの良いところの
美味しいところをミックスした様な音になっている
輪郭がハッキリしていながらまとめ易い、艶やかな出音
特にLow-Bのレスポンスと鳴りの良さ
全域で音の伸びと歯切れの良さを合わせ持ち
ハイポジションまでストレスの無い素直な弾き心地
重量バランスも全く問題無い
様々な音色を作り出せるピックアップとプリアンプの相性の良さ
ジャンルを問わず安心して使える

そして久しぶりに見る美しい杢目
見ていて心浮き立ち、豊かな気持ちになる

2015年現在の手持ちのフレット付きの5弦ベースが
パワフル指向のYin-Yang 5 Strings 1本だけになってしまった
これはもう
「手に入れなくては」

ということで購入を決断
そしてこの機会に、私の所有するベースギターの整理をすることにした
ライブでも練習でも弾かなくなってしまい、これから先も弾かないであろう
と思われる5本を売りに出した
弾かずに眠らせておくのは可哀想
弾いてくれる人の手に渡った方が幸せだ

この年、2015年の12月12日で私は60歳
12歳からベースギターを弾いて48年
自分の好みの音、自分の音楽に必要な音の方向が
どうやら振れなくなってきた
決まってきたのだ

 

これから本番でも練習でも、一生付き合うベースギターとして
この1本を仲間に入れることにした

 

実はこのモデルは
Jaco Pastoriusの息子Felix Pastoriusのシグネチャー・モデルの
【Emperor II 6 Strings】
をモチーフにした5弦モデルなのである

Felix Pastoriusと私 
(2014年1月17日東京Cotton Club ”Yellow Jackets LIVE” にて)
とてもナイスガイのフェリックス

 

Felixのテクニカルでカラフルでハーモニックで、ユニークな歌心のあるプレイ
偉大すぎる父の模倣に縛られることなく(苦しんだ時期もあっただろうが)、
確かなDNAは更に努力を積み、彼独自の語法を生み出し始めている


(http://www.felixpastorius.com/)

 

そんなFelixのためにFoderaが製作したEmperor II の6弦モデルは
ノーマルのEmperor II と違い
34インチ・27フレット仕様で、ピックアップの間にフィンガー・ランプ付き
ダブルコイルのAguilar製のピックアップ
プリアンプのミドルコントロールの周波数切り替え
HIP SHOTのドロップチューナー付き
という特徴を持っている

 

そのFelix Pastorius Custom とされているモデルをモチーフとした5弦

 

ボックス・エルダー・バール(ソフトメイプルの一種)のトップ

ボディーはアッシュのセンター・トーンウッドを、アルダーのウィングでサンドイッチ
音の立ち上がりは‘70年代後半のアッシュ・ボディーのJazz Bassに近いが、
アルダーでサンドイッチしているせいか、ドンシャリにならず心地良く中域が伴っている
耳障りな高音の尖り感は全く無い
アッシュの音が嫌いな私でも、この音は心地よいと思う

 

34インチ仕様のメイプル・スルーネックにマダガスカルキングウッドの指板
ポジションマークは無し(そこも気に入っている)

 

メイプル3ピースのネック
ヘッドは複雑に寄木がなされ、強度とレスポンスと美しさを演出

 

Seymour Duncan製のカスタム・デュアルコイル・ピックアップを搭載
出力は小さめだが、パッシブでの音色がとても安定した豊かさと艶を持っている

 

Fodera製のプリアンプは、ミッドレンジの周波数を切り替えられる
Low-Midをアップしていくと太くて押しの強い音色
Hi-Midをアップしていくと明るく張りがある音色
私は通常はLow-Midをほんの少しアップ気味にして、
Trebleを少し絞り気味にしている

 

フロントとリアのピックアップをシングルコイルとしてミックスすると
Fender Jazz Bass と変わらない感覚で演奏出来る
明るく張りのある心地良い音
プリアンプをONにしてもパッシブ的な味わいの音と言える

デュアルコイルでミックスすると、太くて深くて落ち着いた、少し重めの音になる
それでいながらシングルとは違う高域の艶がある
プリアンプで更にディープな音色にすることが出来る

そしてリアのみで演奏する場合は、デュアルコイルを選択すると
あのJacoの音の方向性を持った音を出すことが出来る
いざソロを演奏する時や、抜けの良い音が必要な場合に、
大きな武器となる
これは私にとって外せない条件だ

シングルのリアでHi-MidとTrebleをアップして
独特の『ケロケロ音』でギター的に効果を楽しんでも面白い

フロントのみの音色は
シングルでもデュアルでもFender Precision 的な使い方ができる
太くて温かく安定感があり、音の世界観が変わるので嬉しい

 

指板とフロント・ピックアップの間に隙間が無いため
一般的にスラップの時の右手の位置が心配になりそうだが
演奏してみると意外にも、そのポジションでスラップをすることに不自然さは感じない
プルの音も、よく有り勝ちな『高音部の尖り感』が無く心地良い

 

いかにもFoderaらしい滑らかで美しく機能的な造形
ハイポジションの運指もストレスが無い

 

Jaco Pastorius本人が所有していた【Black Jazz Bass】を持っている私が、
息子のFelixのシグネチャー・モデルを手に入れることになった
これも縁だろう

 

 

 

2016年7月21日 吉祥寺サムタイム【梅雀BAND Live】(写真撮影:梛野浩昭さん)

 

早速ライブで使用
多彩な音色で、弾きやすく、とても楽しかった


このベースは音色も音域も非常に守備範囲が広い
これから私の大切な武器として
末長く活躍していくことだろう

 

(楽器写真撮影:佐藤勝也)

 

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