No.17 【 Rickenbacker 1999 FG  '09 】

Rickenbacker 1999 FG '09
Body Type Solid
No. Frets 20
Scale Length 84.5 cm (33 1/4")
Neck Width at Nut 41.3 mm (1 5/8")
Neck Width at 12th Fret 52.4 mm (2 1/16")
Crown Radius 25.4 cm (10")
Body Wood Maple
Neck Wood Maple
Fingerboard Wood Rosewood
Weight 4.5 kg (10.0 lbs.)
Overall Length 114.5 cm (45 1/16")
Overall Width 33.7 cm (13 1/4")
Overall Depth 31.8 mm (1 1/4")
Neck Binding No
Fret Marker Style Dot
Tailpiece RIC
Bridge RIC
Neck Type Thru body
No. of Pickups 2
Type of Pickups Vintage
Output Type Mono
Machine Heads Vintage repro

※文中の写真はクリックで拡大します


2010年購入。

ポール・マッカートニーのリッケンバッカー4001Sをコピーした4001C64が好評だったのと、
「ヘッドがノーマル・タイプのオリジナルの4001Sが欲しい」 というファンの要望に応え、
2009年現在の輸入元である新星堂の創立60周年を記念して限定生産したシリーズである。

オリジナルは1963年から1969年の間だけ生産された。
1ピックアップ・モデルの4000をイギリスやヨーロッパに輸出する為に、フロント・ピックアップを
足して2ピックアップ・モデルにしたもの。
本国アメリカでは4001Sだが、イギリスの輸入元ROSE MORRIS社が1999というモデルネームで販売した。
YESのクリス・スクワイヤーも同じモデルを愛用している事で有名だ。

トースターと呼ばれるフロント・ピックアップ

トースターと呼ばれるフロント・ピックアップ

フロント・ピックアップはトースター・ピックアップ(トーストを焼くトースターに似ているから)
と呼ばれ、ギター用をそのまま流用した物でカバーの中にあるボビンは6個。
24フレットの倍音の位置よりも少しネック寄りにマウントされ、モコモコと丸くて少し鼻が詰まった様な
"ボンボンモンモン"
という独特の音。

ホースシューと呼ばれるリア・ピックアップ

ホースシューと呼ばれるリア・ピックアップ

リア・ピックアップはホースシューと呼ばれ、独特の "ガリガリゴリゴリ" とした音を発する。
大きくてキラキラと輝くリア・ピックアップ・フェンスは、'63年の物は磁界を担っており、外すと音が出ない。(切断しなければ外せないが)
光り物好きなマニアにとっては、その形と共に堪らない魅力である。
'63年当時のモデルはフロントとリアの出力差がかなりあったために、ミックスにした時のバランスが難しかったモデルだ。
'70年代以降のリア・ピックアップ・フェンスはプラスティックになり、磁界としての役目が無くなったために、切断して外しても音が出る。
ポール・マッカートニーは後にリア・ピックアップを出力の高い後年の物に換えて、
リア・ピックアップ・フェンスも外している。
実はリア・ピックアップの真上辺りが、一番豊かで引き締まった良い音が出る。
だからフェンスを外す人が多い。
フェンスがある限りその位置では弾けない訳だが、光り物好きでカッコマンな人間には
フェンスは外せない。
私も、いくら弾き難くても、音が気に入らなくても、フェンスは外せない(笑)
ピックアップをマウントしている大きなプレートの、ブリッジ側が絞れた形になっているのも、'60年代の時期のモデルの魅力だ。
リッケンは格好から入るベースだと思う。

ブリッジ・テールピース・ミュート一体型プレート。

ブリッジ・テールピース・ミュート一体型プレート。

大きくてピカピカ光る、ブリッジとテールピースとミュートが一体となったプレート。
これがまた曲者である。
構造的な問題で、オクターブを合わせるのは大変だ。(個体差が激しく、中にはどうやっても合わない物もある)
フラット・ワウンド弦を張り、ミュートを少し効かせると、ポップでご機嫌な音になる。
このミュートもネジでの調節が難しく、演奏中に瞬時には対応出来ない。
しかしリア・ピックアップ・マウントと共に、存在全体が光り物としての魅力を発散しているのである。

出力ジャックのプレートに刻まれた、'09年製作を表すナンバー。

出力ジャックのプレートに刻まれた、'09年製作を表すナンバー。

 

さて、
2009年に製作されたこのモデルは、'63年のオリジナルに近い音を出すためにリア・ピックアップのポットにコンデンサーが組み込まれ、カリカリの音が出るようになっている。
元が現在製作しているピックアップなので出力はあるが、ミックスにするとその音質の差から音作りがけっこう難しいのだ。
その上リッケンバッカーらしく、ネックの太さや出来具合の良し悪し、ボディーの重さ、出音の性格などの個体差が非常に激しく、何本も試奏して悩んだ挙げ句に選んだ1本。
私にとって2本目のリッケンバッカーである。

真っ赤な色がイマイチ気に入らなかったが、音はGood!!
調整するに従ってどんどんご機嫌な音になって来ている。
特にヴィンテージのアンプ、Ampeg B-15SやFender Dual Showman、acoustic 328,422
との相性はとても良い。
(aguilarのDB 680とも相性良し)
現代的な音を出すアンプには合わない。
やはり昔のままのベースなのである。
同じ事が最近のリッケンの他のモデルにも言える。
Rickenbacker社は独特な考え方を持ち、頑固一徹な会社なのである。

私とリッケンバッカーの出会いは中学校2年生('68年頃)。
Bee Geesのモーリス・ギブのベースだった。
学校の昼休みに放送されたBee Geesの『ジョーク』"I Started A Joke"を聴いて、
何とも言えない哀愁のあるメロディーの美しさに魅了され、一気にBee Geesのファンになった。
彼らの音楽に興味を持った私は、それまでのヒット曲を聴きあさった。
中でも『獄中の手紙』"I've Gotta Get A Message To You"のベースに耳が釘付けになって、何度も聴いていた。
シングルだけでは満足出来なかったが、LPレコードを買うお金が無かった。
そこでBee Geesコレクションをしていた友達のお兄さんにLPを借りたりして、なんとか詳しくなろうと努力した。
そして写真でモーリス・ギブが持っているリッケンバッカー・ベースに目が釘付けになった。
「かっこいいーーー!!!」
独特の形の虜になった。

ここから刷込み的リッケン中毒が始まった。
以後、ポール・マッカートニー、クリス・スクワイヤーという、'60年〜'70年代の私に多大な影響を与えたベーシストが、リッケンを愛用していた。
特に'72年の『危機』"Close To The Edge"を聴いて、YESのクリス・スクワイヤーの
"ギンギンガリガリ"というアタック音を伴ったベースにはノックアウトだった。
'71年の『展覧会の絵』"Pictures At An Exhibition"から、Emerson,Lake & Palmerの
グレッグ・レイクのFender Jazz Bassの"ビンビン"という音にハマり、
【アタック音フェチ】
になっていた私は、更に過激な金属音とユニークなフレーズを繰り出すクリスのプレイにどんどん入り込んでいった。

'70年に出演した映画『海軍特別年少兵』(今井正監督作品)のギャラで、
'71年に念願の本物のFender Jazz Bassを新品で買ってもらったが、続けてリッケンバッカーもという訳にはいかなかった。
当時もリッケンはフェンダーより遥かに入荷が少なく、値段も高かった。
そこで私はGrecoのリッケン・モデルであるRB-1000を買った。
本物の姿に一番似ていたからだ。
しかし2ハムバッカー・ピックアップのこのベースでは、とうていクリスの音は出る筈もなかった。
それでもロトサウンドのラウンド・ワウンド弦(当時は1セット7,800で買うのも大騒ぎだった)を張って、 文化祭でYESのコピーを演奏していた。
やがて私のベース音への興味がスタンリー・クラークのAlembicに移り、 バンドがプログレからクロスオーバー(後のフュージョン) をやる様になったので、このGreco RB-1000は友達に売ってしまった。

そして年月は流れ1997年、
Rickenbacker がクリス・スクワイヤー・モデルとして、4001CS Limited を限定生産した。
暫くリッケンを忘れていた私の前に、そのベースはキラキラと輝いて登場した。
その頃、フュージョンのオリジナル曲を演奏するバンド活動をしていた私だが、
使わないと分かっていながらもその姿に一目惚れして買ってしまった。
しかしまったくクリスの様な音は出ない代物だった。
実用性のある音の様には思えたが、クリス・ファンとしては魅力に欠ける1本であった。
何年か我家に眠っていたが「使わなくては可哀想」と売ってしまった。

その後、我家にRickenbackerが無い事に寂しい思いをしていた。
ポール・マッカートニーのコピーの4001C64が出た時も、すぐに飛びついて弾いてみたが、ヘッドがリバースになっているのがどうしても気に入らなかった。

「どうせ使わない」
と思っても恋しいRickenbacker。
見ると欲しくなるRickenbacker。
なかなか良い物が無いRickenbacker。

そして2009年。
60周年記念の1999が出た。
限定生産といわれていながら「よく見掛けるなぁ…」と思っていた。
暫くは我慢していたが、どうにも気になって2010年になってから試奏をしに行った。

FG(ファイアーグロー=レッド・バースト)が基準だが、珍しいJG(ジェット・グロー=黒)も1本弾いた。
5本弾いて、FGの1本がとても弾きやすくて良い音だった。
真っ赤なFGより真っ黒なJGに惹かれていたが、やはり音重視。
「FGが嫌だったらいずれ塗装を剥がしてナチュラルにしてしまおう」
と決心して購入した。


ロトサウンドのステン・ラウンドのSM66(40-100)を張った。
我家のヴィンテージ・アンプ達(Ampeg B-15S、Fender Dual Showman、acoustic 328,422)との相性が非常に良い。
豊かな低音と同時にあの"ギンギンガリガリ"のクリスのアタック音が出る。
こいつはご機嫌である。
ネックの具合が良く、'97年に買った4001CS Limitedより遥かに弾きやすい。
テンション感が自然で楽なのだ。
調整次第でスラップもけっこういける。(プルをすると少々音が割れやすいから神経を使うが)
ステージでRickenbacker を持つ自分を思い浮かべながら弾いているうちに、作曲意欲が湧いて来て、久し振りにプログレっぽい曲が生まれた。

The Whoのジョン・エントウィッスルみたいに2フィンガーで叩き、指弾きでピックの様なトレブリーなアタック音を生かすやり方も良い感じだ。
このベースは私の音楽の世界観をチョイと変えてくれる、不思議な魅力を持っている。
鏡で見ているうちに「FGの色も良いものだなぁ」と思えて来た。

いずれ状態の良い本物の'63年製の4001Sに出会ったりしたら、それを買ってしまうかもしれないが(笑)
この1本は充分に満足出来ている。


ヘッドの材はセンターがボディーからスルーのメイプルで、両側のウィングがローズウッド。
塗装を剥がすと魅力的な2トーンカラーとなる。
トラスロッド・カバーの『MADE IN USA』は'64年と 
同じに、Rickenbackerの文字に平行。
ヘッドの材はセンターがボディーからスルーのメイプルで、両側のウィングがローズウッド。
塗装を剥がすと魅力的な2トーンカラーとなる。
トラスロッド・カバーの『MADE IN USA』は
'63年と 同じに、Rickenbackerの文字に平行。
     
 nメイプル・ワンピースのスルーネック構造。
メイプル・ワンピースのスルーネック構造。
 
      クルーソン・タイプの逆巻き式のペグ。Fenderの様に同方向に並んではいないから、慣れないと扱い難い。

クルーソン・タイプの逆巻き式のペグ。Fenderの様に同方向に並んではいないから、慣れないと扱い難い。

 

     
ピックアップの3ポジション・トグル・スイッチと、2 
ボリューム、2トーンのコントロール・ノブ。
Gibsonなどとは違って下側がボリューム、上がトーン。これまた慣れが必要。
ピックアップの3ポジション・トグル・スイッチと、2ボリューム、2トーンのコントロール・ノブ。
Gibsonなどとは違って下側がボリューム、上がトーン。これまた慣れが必要。

取り外したフィンガー・レスト。
ご覧の様に台形型。 向かって左が下になり、指を引っかけ易い様になっている。(こういうところは親切だ)
取り外したフィンガー・レスト。
ご覧の様に台形型。向かって左が下になり、指を引っかけ易い様になっている。(こういうところは親切だ)


(写真撮影:光齋昇馬)

 


(写真提供:HOTコロッケ)

ライブでは、歌のバックでも、インストのソロでも、
変化自在になかなかの存在感を発揮。

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