※ 写真2
※ 写真3
'05年購入。
 
  Fender Precision Bassの'62年といえば、ジェームス・ジェマーソンの所有していた“Funk Machine“を思い出す。 
  歴史的名手の歴史的名器。 
  '62年製Precisionにラベラのフラット・ワウンド・スーパー・へヴィー・ゲージを張り(一生張り替えなかった)、ネックは純反り気味で弦高は高く、ピックアップ・フェンスを着けたまま、フロント・ピックアップのネック寄りで、人差し指で弾く。
 
  これがジェマーソンのスタイルだった。
 
  私も以前、Fender Custom Shop製の'62 Precision Bass を持っていたから、同じ様にしてみた。
 
  しかし、いつもの私のスタイルとあまりに違うため、とても弾き難かった。
 
  それにネックが反って、かなりかわいそうな感じだったので、すぐに止めてしまった。
 
  そのベース自体も手に馴染まなかったので、結局手放してしまった。
 
正直なところ私はJazz Bass派である。
 
Precision Bassも何本か持っているが、レコーディングにもライヴにも使ったことがなかった。
 
Jazz Bassと違って1ピックアップのPrecision Bassは音にバリエーションがない。
 
表情が変わらないから詰らない。
 
ブリティッシュ・ロックからジャズ方面に入った私は、モータウン系に興味があまり無く(今は大好き)、Precisionに強い愛着は無かった。
 
使わないのに何本も持つ必要はない。
 
もうPBは買うまい、と思っていた。
 
'05年。'62年製の本物が『ラフタイム』に入荷した。
  
かなり綺麗で傷みも殆ど無い状態。
  
凄いお値段。
  
買うつもりはなかったが《本物はどんな物か知っておこう》と試奏をしに行った。
 
手に取ったとき、シットリとした落ち着いた感触がすぐに伝わってきた。
  
  軽くもなく重くもない。
  
  ネックも素直に手に馴染んでくる。
  
そして音を出してビックリ♪♪ 
 
一音一音が音楽的に生きている。 
 
立ち上がりも、盛り上がりも、減衰も、全てが心地良い♪♪♪ 
 
こんなPrecision Bassは初めてであった。
  
というか、こんなに心地良く音楽を感じさせるベースが、今までにあっただろうか?
なんということだ…
  
ノックアウトだ… 
 
これ一本で何でも出来るではないか… 
『これは手に入れなくては』という強くわき上がる思いに、もう抵抗は出来なかった。
そして、『ベース集めはこれで打ち止め』と思った。(という決心が崩れるのに、左程時間はかからなかったが…笑)
ちなみに、Precision Bassとしては、'71NT/M、'65NT/R(売却)、'65WH/R、C/S'62SB/R(売却)、に続いて5本目に当たる。
このベースにラベラの【ジェームス・ジェマーソン】を張ろうか…
 
とも思ったが、それではまた使わなくなるし、ジェマーソンを弾くためのベースではない。
  
自分の音を出したいので、Foderaのニッケル・ラウンド045~105を張っている。
  
(Jazz Bassにはロト・サウンドのステン・ラウンド(Swing Bass)の040~100)
※写真4
'62Jazz Bassと同じ様に、ベースの基本を思い出させる名器だと思う。
やはり楽器は使わなくてはその真価が出てこない。
                    名器と言われる物程、様々な概念やプレッシャーに捕われずに思う存分弾いてこそ、
                   その価値が分かると思う。
                   もちろん、いつまでも私のお宝中のお宝である。
					※写真5
ピックアップ・フェンスとブリッジ・カバーとフィンガー・レストを外して使っている。
 ※写真6
全くの'62年オリジナル状態である。
※写真7
   				  シリアルナンバーは#78893 
※写真8
                  ペグはクルーソンの逆巻きタイプ。この頃のモデルに必ず付いているヘッド裏のストラップ・ボタンが、この個体には付いていない。
ネックの剥げ具合から、元の持ち主はローポジションばかり弾いていたと思われる。
(※写真1、2、3、4 撮影:佐藤勝也)
(※写真5、6、7、8 撮影:光齋昇馬) 
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