'09年購入。
The Beatles の"Let It Be"のセッションで、ジョージ・ハリソンが使っていた
有名な【オールローズ・テレキャスター】のリイシュー。
これは'07年にカスタム・ショップによって限定生産された物。
貴重な木材ローズウッドだけで作った贅沢なギターである。
'68年にジョージ・ハリソンにFender社がプレゼントした【オールローズ】を
忠実に再現しようとしたモデルだ。
ジョージ・ハリソンが持っていた物は、'68年にFender社のロジャー・ロスマイズル
とフィリップ・クビキの手によって製作され、12月にジョージに手渡された。
そして'69年の"Let It Be"のレコーディング・セッションで使われた。
映画『Let It Be』ではスタジオでも屋上ライブでも使っている。
とてもジョージにお似合いのギターだった。
その後、'69年12月にデラニー&ボニーのライブツアーにジョージが参加。
その時、デラニー・ブラムレット(エリック・クラプトンの初ソロアルバムをプロデュ
ースした人でもある)にプレゼントした。
しかしその後ジョージはデラニーに対して、ギターを返して欲しいと要求したが拒否さ
れた。
2001年11月29日、ジョージは癌で逝去(享年58)。
2003年にデラニーはこのギターをオークションにかけた。
それを落札したのはジョージの奥さんオリヴィアの代理人だった。
やっとジョージの家に戻ったのだった。
デラニーは'08年12月27日、69歳で亡くなった。
曰く因縁のあるギターである。
ジョージのお気に入りだったオールローズ・テレキャスター。
なのに彼にとっては忌わしい"Let It Be"セッションで使った記憶。
それを忘れたいために手放した。
が、やはりオールローズが恋しかった。
生前には取り戻せなかったが、
その思いを奥さんが叶えた。
などと、勝手に憶測してしまうのだ。
【オールローズ・テレキャスター】は'69年に一般向けに限定生産されたことがある。
それはジョージ本人の物の仕様とは多少違ってワンピースネックで、裏からトラスロッドを仕込んだために
ネック裏中央にメイプルのラインが入る。
ローズウッド自体が大変重い材なので、相当な重量だったらしい。
'07年仕様のこの一本はジョージのと同じ貼り指板である。
そしてボディーはローズウッドの板2枚で極薄のメイプルをサンドウィッチして(ここまでは同じ)、中をくり抜いて軽量化をしている。
つまりセミフォロー構造になっているのだ。
現在はローズウッドが更に貴重な木材となり、大きな面積の物が入手困難になってきている。
美しく木目が揃た物はなかなかお目にかかれない。
'08年の暮れに山野楽器サウンドクルー吉祥寺で出会った。
先ずその美しい木目に、目が釘付けになった。
「ジョージが持っていた【オールローズ】にそっくりだ!!」
すぐに弾いてみた。
弾き手の意思に素直に反応する素直な弾き心地。
滑らかで落ち着いていて、ほんのわずかにリミッターを掛けた様な、
テレキャスターにしてはサスティンの利いたよく歌える音色。
もちろんテレキャスター独特の「チャキーン」という音色は生き生きと出るから、
カッティングも気持ち良い。
何よりもネックの握りが私にピッタリで弾き易いしバランスも良い。
実は私は以前はテレキャスターにはあまり興味が無かった。
どちらかというとギブソン派だった私には、音が軽過ぎる様に思えていたからだ。
しかしジョージの【オールローズ】は
「奇麗だしカッコイイな」
と思っていた。
18歳の頃に聴いたロイ・ブキャナンの、様々な表情で泣くテレキャスターで少しイメージが変わった。
そして'98年、ラリー・カールトンのFourplay『4』でのテレキャスターの音にやられた。
落ち着いたとても魅力的な音だった。(ラリーの手に掛かったら何でも良い音になるが)
「テレキャスターも欲しいなー」
と思う様になっていた。
しかし実際に弾いてみるとカリカリと乾いた音ばかり際立って、なかなか馴染める個体が無かった。
そして'08年、とうとうこの一本に出会った。
「おーー♪ これなら大丈夫!!」
とすぐに納得できた。
貴重な材を使った貴重なギターだが、弾き手に緊張感を与える様な威圧感は全く無く、気軽に手に取りたくなる。
そして素直な弾き心地。
これは楽器としてとても大事な事だと思う。
観ても美しいし
【オールローズ】は持っていて嬉しくなるギターだ♪
そして、実はテレキャスターはとてもバランスが良い弾き易いギターだという事を教えてくれた。
これからこのギターが私の曲のバッキングにリードに、どういう風に活躍するか、
ワクワクする。
(写真撮影:光齋昇馬)
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