'02年購入。
私はラリー・カールトンが大好きである。
Crusadersの『Scratch』('74年)が出た頃からのファンである。
当時テレビでアメリカの番組【Midnight Special】が放送され、Crusadersが登場した時は狂喜して録画し、何度も何度も繰り返し観たものである。
抱き締める様に構えた335で、色っぽく艶やかに、よく歌うあのフレーズに酔いしれた。
今もラリーが来日すると必ず観に行く。('07年1月のFourplayは観られなかった…残念)
もちろん彼はどんなギターを弾いても素晴らしいが、やはり335だ。
'02年の二月。
私は当時”初めての”ストラトキャスターを探していた。
先ずはヴィンテージの本物をが、どんなものであるか知る必要があると思い、ヴィンテージのベースを何本か買った『ラフタイム』に行って、試奏してみた。
目の玉が飛び出る程のお値段の'57年製ストラトを弾いても、イマイチ感心しなかった。
何本か弾いているうちに、店員の佐藤さんが
「335の方がしっくりくるんじゃないかな?」
と言い出した。
「確かにラリーのファンだし335が好きなんだけど、高いから…。それに今はストラトを探しているし…」
「でも弾いているのは335のフレーズですよ(笑)。今良いのが何本かありますけど、弾いてみますか?」
ウワッ… ヤバい
と思ったが、335のヴィンテージも弾いたことがないので、弾いてみることにした。
出てきたのが'64年製の、この335。
ブロック・インレイだし、ストップ・テールピースだ。
ラリー・カールトンじゃないか♪
他のは皆テールピースがストップ・タイプではなかったので、この一本のみを弾いた。
試奏に使ったアンプは、BRUNOのSUPER100の6L6仕様に、EVの12inch×2のキャビだった。
【一音でノックアウト】だった。
大した事をしなくてもラリー・カールトンの音だった。
それまでストラトを探していた事など何処へやら。
ワンオーナー物らしく非常に美しい良い状態。
細身のネックはとても手に馴染み、気持ちが良い。
自分のピッキングと出音が、気持ちにピッタリくる。
クリアでもディストーションでも、335のキャラクターが心地良く、感情を乗せやすい。
大きくて薄いボディーを、抱き締めて弾く様な感覚が堪らないのである。
「やっぱりそうだ♪335がバッチリお似合いですよ!」
佐藤さんが煽ってくる。
「う~ん…。本当に凄いねこいつ!」
「335にしましょう!!」
「え!? でもなんかそんな感じだよな~~~♪ いやいや俺はストラトを探していたんだよ」
「実はこの335を弾いたお客様は、梅雀さんが初めてなんですよ」
「え!?そうなの?」
「この335は梅雀さんを待っていたんですよ」
「また~巧い事言っちゃって~(笑) でもこんなに綺麗でこんなにいい音なのって、
あんまりないよね~。
で、お幾ら?」
当然お値段は凄かった。
'57年ストラトとまったく同じお値段!!!!!
ストラトを探していた事を理由付けに佐藤さんの追撃を振り切り、必死に自分を抑え、一先ず家に帰った。
しかし最早、心は335一色になっていた。
「もうストラトなんかどうでもよい」
という心境。
いつかは買うつもりだった335。
しかも極上品。
こんな出会いは逃してはいけない。
「人生思い切りが大切!!」
いままで買ったどんな楽器よりも高かったが、もう躊躇はしなかった。
後に、この子のために'70年製の【Fender Dual Showman Reverb】(ベース用としても有名である)を買った。
堪らない音である。
自分でうっとりしてしまう。
弾けば弾く程、奥深い味わいを実感出来る。
自分が上手くなった様に思える。
どんどん使いたくなる。
やはり名器である。
JacoのBlack Jazz Bass、'62Fender Jazz Bass、'62Fender Precision Bass と並んで、
私のお宝である。
(写真撮影:光齋昇馬)
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