Gibson Mandolin F-5G '01



2010年10月購入。

 

私は復弦の楽器の響きが大好きだ。
12弦ギターはもちろん、中国のヤンチンも大好きだ。
Jaime Santosのポルトガル・ギターも堪らなく好きだ。

私のCD『Brght Fortune』の中のオリジナル曲『SOYOGI』のメロディーは、レコーディングではヤンチンを使った。
しかしヤンチンをライブで一曲のために使うのは大変困難である。
従ってライブでは、ピアノやギターやソプラノ・サックスでメロディーを演奏した。
ある時ふと
「マンドリンを使ったらどうだろうか…」
と思った。


2008年7月に名古屋で舞台公演があった時に、たまたまその事を思い出して、 栄のPARCOにある島村楽器に行ってみた。
そこにこのマンドリンが置いてあった。
この店には他にも6本程様々なマンドリンがあったが、
この一本は一際輝いて見えた。
かなり前に入荷した物らしく、タグの輸入元には【山野楽器】とあった。
(シリアルナンバーからおそらく2001年製)
まだ山野楽器がGibsonを扱っていた頃の物を、この店が買い取ったのであろう。

早速『SOYOGI』のメロディーを弾いてみた。
ギターと違ってチューニングが五度だから、ちょっと慣れが必要だったが、
音は申し分無く『SOYOGI』になる。 哀愁のある心地良い響きだ。

「これならいける!! レコーディングもマンドリンにすれば良かったかなぁ…(汗)」
と思う程良い音だった。
しかし結構な高いお値段。
一緒にいた女房の寿子も
「いい音だけどちょっと高すぎるし、本当に使うの?」
(-_-;) うぅぅん… そう言われるとなぁ…
「まぁ、いいか…」
と、その時は店を後にした。

 

その後何度かライブで『SOYOGI』を演奏したが、
ライブハウスで演奏する時など
「やっぱり復弦の響きが欲しいなぁ」
と、よく感じた。
12弦ギターではなく、やはりマンドリンだ。

 

2007年にポール・マッカートニーが出した" Dance Tonight " という曲で、
実に気持ち良くポールがマンドリンを弾いていて、好きでよく聴いていた。
それを2010年になってから、何故か再びよく聴く様になった。
寿子もこの曲が大好きで、
「これ弾けないの?」
「マンドリンがあれば弾けるよ。名古屋にあったあのマンドリンいい音してたなぁ」
「ああ、あれねぇ… でももう売れちゃってるでしょう」
「いや、高いからまだ売れてないかもしれないよ」

 

そして2010年10月。
名古屋で舞台公演があった。
「もし残っていたら買おう」
と思って店に行くと

同じ場所に、まだ売れずに置いてあった!!

 

しかも何と
値段が2008年に見た時より10万円も安くなっている♪♪
店員さんに
「何か不具合でもあるんですか?」
と訪ねると
「いえ、全く問題はありませんが、入荷してからもうかなり長い間展示してありますから、 売り物としてはこれくらいに値下げしないと… 」
とのこと。
「しめた!!!」
と踊る心を必死に落ち着かせながら早速試奏。


何と何と
二年前より鳴りが更に良くなっている。
店で展示しているうちに、程よく乾燥が進んだのだろう。
ネックや指板、ボディーの状態も問題は無さそうだ。
迷う事無く、即買いであった。

 

見ているだけで丁寧な作りだという事がわかる。

 

ボディー裏には綺麗なフレーム

 

独特のインレイ

 

ネックやヘッド・サイドにもとても綺麗なフレームが入っている

 

 

東京に帰ってすぐに、日本を代表するリペアマンのF氏に状態を診てもらったが、
「これは個体として非常に良く出来た楽器だし、珍しいタイプのマンドリンですよ」
との事。
思い切って買って良かった。

 

その後は、ポールの" Dance Tonight " を弾き捲ったり、『SOYOGI』の練習をしたり、 作曲に使ったりしている。
ウクレレの様に手軽に使えないものかと色々試してみている。

 

F氏の提案でライブ用に皮紐でストラップを作ったりした。
残るはライブの際の収音の問題だ。
かなり出音が大きいので普通にマイクでも拾えるとは思うが、
ハウリングの心配がある。
私がマンドリンを弾いたらベースはどうする?
という問題もあるが…

まあとにかく、このマンドリンをライブに使う日は、そう遠くない内に来るであろう。
マンドリンならではの味を生かした曲も作りたい。

 

 

(写真撮影:光齋昇馬)

 

 

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