'96年購入。
旅のお供的ミニギターの盛り上がりの、切っ掛けになったギターである。
先ずその形のユニークさが話題になった。
全ての材が安価な物で、出来るだけ値段を抑え、出来るだけ小さく、出来るだけ軽く、邪魔にならない様に作られている。
しかしスケールがミニサイズではないので弾き易いのと、意外にまともな音が出るのが魅力である。
形が三味線のバチみたいだから膝に乗せて弾くことは出来ないが、ストラップを使えばまことにバランス良く、弾き易い。
発売して間もなく爆発的人気商品になり、日本全国どこでも品切れ状態になった。
そうなるとどうしても欲しかった。
全国の楽器店に散々電話をし捲って探し、高崎市の楽器屋に一本だけ残っていることがわかった。
その時丁度私は、劇団前進座の公演で東京から前橋に移動して公演する日だった。
途中JR高崎駅での乗り換えに15分の時間がある。
駅から店まで走れば5分。
よし!間に合う。走って買いに行こう。
店に電話して、品物をすぐ確認出来る様にしてもらい、高崎駅に着くや否や全力疾走で店に向かった。
「このギターでよろしいですね?弾いてみますか?」
という店員さんの言葉を遮り、
「いいです。マーチンですから信じます。すぐに駅に戻らないと電車に間に合わないので、とにかく早くしてください。」
マーチンですから信じますというのも変だが、汗だくの顔で必死に頼み、お金を払い、ギターを担いでまた全力疾走で駅に向かった。
何と発車までまだ2分あった。
周りの人がビックリするくらい、私の顔は汗だくだった。
それから暫くは、このギターが旅のお供だった。
急に誰かと軽くジャムる時などにも、随分使ったものだ。
しかし'06年にYAMAHA Silent Guitar を買ってからは、旅のお供の役目は終わった。
今は、気軽にちょいとギターの音が必要な時や、フレーズ等を確認する時等に、引っぱり出して弾いている。
やはり、気軽さ手軽さ便利さが、このギターの良さである。
(写真撮影:光齋昇馬)
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