YAMAHA FG-2500 '71

  • ヤマハジャンボタイプ
  • 637.5mmスケール 12弦
  • エゾ松単板トップ
  • ハカランダ/フレーム・メイプル/ハカランダ裏板
  • ハカランダ側板
  • ホンジュラス・マホガニー・ネック
  • エボニー指板
  • エボニー・ブリッジ

 

'71年購入。

 

エゾ松単板トップ。
エボニー指板。
エボニー・ブリッジ。

 

ハカランダ/フレーム・メイプル/ハカランダ裏板。
ハカランダ側板。
貴重で美しい材が使われている。
ネックはホンジュラス・マホガニー。

 

 

私がギターを始めたのは、ベースより二年遅れて'69年頃だった。
当時はフォーク大全盛。
私はフォークギターをただジャカジャカとかき鳴らすタイプの演奏が嫌いだった。
フォーク・ミュージックと言えども何かひと捻り、音使いにオリジナリティーを感じさせる工夫が欲しいといつも思っていた。
その中では【GARO】が割と凝った演奏をしていると感じていた。
【クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング】も複雑なコードを使って、素敵な音を奏でていたから興味を持っていた。
当時は本当は【エマーソン、レイク&パーマー】【イエス】等を演奏したかったが『フォークの弾き語りも出来なければガールフレンドもできない』様な勢いのある時代だった。
そこで友達と【GARO】のコピーをした。
三部のコーラスをバッチリコピー。
ギターの変形コードも丁寧にコピーした。
しかしもっと複雑に、きらびやかに素敵にしてやりたかった。


やはり12弦ギターが必要だろう、と思った。
当時お世話になっていた吉祥寺ヒワタリ楽器の樋渡さんが薦めたのは、発売されて間もないYAMAHAの
FG-2500だった。
当時の高校生としては高い値段だったが、詰らない物を買って後悔したくはなかった。
又しても母親を強請り、たしか「日本舞踊や義太夫の稽古をちゃんとやる」という約束で買ってもらったように思う。(実際はその後もサボってばかりだった(^_^;)ゞ)


弦高が高くテンションが高いので、弾くのにはかなりの握力が必要だった。
ブリッジをサンドペーパーで削って、少しでも低くしようとしたが、あまり効果はなかった。
それでも当時の私は、握力を鍛えるのも修行の内だと思い、必死に弾いていた。
このギターはペグの配置がクラシックギターと同じなので、弦を替える時に苦労する。
12弦だから尚更始末が悪い。
張り替えの最中に弦が切れて跳ね返り、手の甲に突き刺さったこともあった。
弾き難い上に弦も取り替え難い。

しかし、このギターのきらびやかで重厚な音色は大したものなのである。
いまだに名器と言われる所以だ。

 

エボニー指板。
見た目はカッコいいが、弦の交換等にはまことにもって扱い難いヘッドとペグの構造。

 

製作者:中本輝美氏のサイン

 

 

1981年頃まではよく弾き、録音にも随分使った。
ラリー・コリエルの『ボレロ』や、渡辺香津美さんがマイク・マイニエリのアルバムに収めた12弦ギターの名演を聴いて触発されて、難しいテクニックにチャレンンジした事もあった。
複雑なコードを自分なりにあみ出して、曲の仕上げに大きな効果を出した事もあった。

ただ、弾くにはそれなりの覚悟と根性が必要なものだから、次第に億劫になり、
劇団の仕事が忙しくなってからは、長い間ケースに入ったままだった。

 

2007年
私は劇団から独立し、
音楽活動も自由に出来る様になった。
2008年には念願のソロCD【Bright Fortune】もリリース出来た。

エレクトリックなジャズ・フュージョン系の曲ばかり作り、演奏していたので、
アコースティックの12弦を弾く事は無かった。

 

2013年9月
久し振りに出してみると、
なんと
ペグが錆びて動かなくなっていた。
弾くどころの状態ではなかった。

 

2013年11月
弦高を下げて弾き易くするために
日本を代表するリペアマンF氏に頼んで
新しい駒を作ってもらい
ペグもすべて洗浄してもらった
そして全体の調整をし直した。

 

正に劇的に弾き易くなった

 

長い間ケースに治まっていたので
まだ若い音がする
これでは可哀想だ
これからは機会あるごとに弾いてあげよう

 

(写真撮影:光齋昇馬)

 

 

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